うつ病患者がノーベル賞を狙ってみた件

ノーベル文学賞を目指すブログです。

詩 『心を狙え、ジミー・ルナンド』

君に家庭を与えたら

一日で富を肥やす事ができるだろう。


だが、君が富を肥やす事が出来ても

半日でその金を使い果たすだろう。


つまり君には、家族が何であるか知らないのさ。


金曜日の夜、ソファーにどっかり座った借金取りのジミー・ルナンドがそう言った。


僕は悔しくて、そのようなことは絶対にない、と怒鳴った。


しかし、銃口を向けられているのは僕の方だ。


どんなにあがいてみても、彼の引きがねの方が勝っている。


僕は、そのうち、真っ暗な世界に墜ちていくんだ。


そう、あの頃、ハルピンでみた夜景が、

僕らにとっての最高の人生哲学だったのさ。


今はもう、そんな素晴らしい愛を抱きしめることもなくなった。


一日、五◯セントの仕事に精をだし、

酒を飲めばしみったれたイタリア空軍の悪口ばかりさ。


髭は伸び放題だが、頭はすっかりと寂しくなっちまった。


それでも、君の夢を今でも日記に書いて持ち歩いているよ。


悪い男に腹を殴られた時、

その日記の厚さが役に立って怪我もしなかった。


ああ、エイミー

僕を救いたまえ。


銃弾に倒れそうになっているこの僕を夢の力でもう一度、


もう一度、ジミー・ルナンドから守ってくれ。


僕にはもう、家庭を持っても富を肥やすことはできないが、


そのぶん、君のために命の限り、愛を語るよ。


そうして、子供が出来たら、

皆で、命の話をしよう。


君たちの父親は、最後まで自分を信じた。


そう、信じるものは、誰にも家族がいる。

僕は最後に気付いたよ。


エイミー。

ただ、君を愛している。

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